【考察】文章と写真、論理と感性②

(前日の続き)
やっぱり論理と感性、違う部分使うよなあ。
右脳と左脳だよなあ!!


と短絡的になるべからず。
今月号のクーリエ(面白い!!)で、右脳=論理性と左脳=直感という考え方は間違っていると言っています。
クーリエによると、98年にエリック・カンデルさん達の論文「認識脳科学と記憶の研究」が発表されてから、
脳の二面モデル(右脳と左脳で、論理と直感は使い分けているとする説)は研究者の間では支持されなくなり、
「学習」(=分析)と「想起」(=直感)が脳全体で、様々な組み合わせで起こっているというこの説が有力視されているのです。

つまり、脳の動きとしてはとってもシンプル。
 -学習=分析:分類+収納 
 -想起=選択:検索+組み合わせ
この繰り返し。

右脳とか左脳とかの考え方自体が古くって、ブレストの為にMTGルームで缶詰になって、「左脳的発想だー!」
といってロジカルに考えるのをオフにして、思いついた事をつらつら述べようとしていても、
(長いよなあ、この上司の思いつきオンパレード。。。)
と部下は疲労困憊になるだけで、往々にして煮詰まってしまうのだ。


ーーー
ではどうすればよいのか?

洋書だが、「Napoleon's Glance」という書物をご存知だろうか。
コロンビア大学MBAのStrategyの講義で使用されるテキスト。
クーリエにその本は引用されていないのだけれども、ナポレオンの戦術ということで説明があった。


ナポレオンの戦術が何故すぐれていたかというと、ナポレオン方式は、
 ①多くの歴史を学び、脳みその引き出しにしまっておく。
 ②一旦学んだことを忘れる
 (いざ実戦。)
 ③戦場での目の前の出来事に対して、脳みその引き出しから使えそうな物を引っ張りだして、指令を出す

つまり、
 ①学習(たくさんの知識・事例のストック)
 ②ゼロベースで、現場に応じた課題抽出
 ③想起(ポイントを組み合わせてカスタマイズ)
ということ。


だから、良い戦術を思いつくには、
 ①その専門+それ以外の分野のたくさんの知識を蓄えておく <Input>
 ②頭をすっきりさせて(前例とか固定観念なしで)現場に望む
 ③直感的に組み合わせ、検証。             
というとてもシンプルなプロセスなのだ。


なかなか②(Condition)を考慮しないから創造性に富まないということ。
ちょっと気を抜いたテストやプレゼンが上手くいくのは、②→③のプロセスがスムーズに行われるからなのだろう。
そもそも②(Condition)という概念自体が普及していないのが、今の苦痛ブレスト(諸悪)の根源。

クリアになった脳で、歴史から選んだ前例が組み合わさって、はじめて「ひらめき」が来る。
by 今月号のクーリエ。


ーーー
といってもねえ、やはりInput、つまり引き出しの多さが重要だろう。
いくらリラックスしていても、プレゼンの骨子や要所が頭に入っていないと、
その場で学習するハメになってしまうのだから。大失敗プレゼン。
また働きながらだと仕事での経験以外では、なかなかInputは出来ない。その努力が差になるのだろうけどね。

随分前にMBAに行っていた大先輩から、「書物を読め。Inputこそが重要だ」と力説されたことがある。
書物にはその人が長年かけて発見したポイントが書かれていて、それをものの数時間で学べるのだから、何年もかけて現場で経験するよりも早い、と。

ただしビジネス書は駄作と傑作が入り乱れているから、乱読が重要。
ビジネス書自体は、伝えたいことだけでは本にならないから、自分の身の上話とか関係のない話でページ数を増やしているだけだそうな。

つまりは骨組みが分かればポイントも分かるのだね。ビジネス書を読む事で論理的思考も鍛えられそうだ。
ちなみに、その先輩は一日一冊。加えて要所を自分で抽出してまとめて、それをストックしているのだそうだ。
海外のMBAでは当たり前の勉強法だという。

うう、私も勉強します。。。

他にも、本の解説サービス(メーリス、サイト、月刊誌)を利用せよ、とのお言葉も。
短い時間で、いかに効率的にポイントを押さえてストックしていくか。
学習をする上でも、情報取捨選択能力が物を言う時代になっているのです。


COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 03月号 [雑誌]

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 03月号 [雑誌]

Napoleon's Glance: The Secret of Strategy (Nation Books)

Napoleon's Glance: The Secret of Strategy (Nation Books)





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