【音楽】「HIP HOP」はモテるべきか?

しゃらくさい戯言ですが、
以下イメージで語る「J−HIP HOP」論。

前置き
先日、職場の人で「KLEVA」が好きな人がいた(年は伏せるけど、若者ではない。おじさん過ぎない働き盛り)。机に、「KLEVA」のアルバムがそっとおいてあって周囲の同僚とそれをネタにしばし歓談。話のしょっぱなから私は「KLEVAねえ…」と渋ーい顔をしてしまったのだ。それで「(その人を)嘲弄してる」とあらぬ疑いをかけられてしまいましたとさ。


いや別にクレバのことそんなに知らないし、ジャパニーズHIPHOPも特定のアーティストしか好きでもないので、非常におこがましくてすいません。
何故よくも知らない「KLEVA」を好きな職場の男性を渋く思ったか。という疑問から発展して、勝手にJ-HIP HOP論。完全に独断と偏見です。


「HIP HOPはモテる」べきか?

①カラオケでー歌う俺ー、かっこいいぜ「HIP HOP」
今やカラオケの定番となった「J-HIP HOP」
もうカラオケにいかなくなっているので、現在はどうなっているかわかりませんが、
「ピコピコチキチキするカラオケ特有の旋律をバックに、低音で想いを読経のごとく歌う(呻く)」
男たちの光景が広がっていたような。

記憶にあるのは、スチャダラパーがばっと出てHIP HOPに脚光が集まり、(一時的ブームになったような)その後はアングラでラッパー軍団が群雄割拠、日の目を見ない戦国時代か。
ORANGE RANGEとかリップスライムあたりが出てきて、非常にPOPに、メジャーになってきて今に至る?
「J-HIP POP POP&R&B!」みたいなのが最近?(最近はよくわからないから濁す)

「KLEVA」はそんなPOPにより過ぎたHIP HOPではないけれど、むしろ大会で殿堂入りを果たすほど才能のあるラッパー。天才型のラッパーなのだけれども。
何故彼はいかんのだ?

…「格好いい」んです。
きっと「モテる」んです。KLEVAって。
女の子の黄色い歓声と、男たちの羨望のまなざしが、歌うKLEVAの「背後に見える」んです!
メジャー感あふれる格好良さをお持ちなんです、クレバさん。

そのKLEVAを追随する男たちって、なんだか、「俺もモテてやるぜ」臭がしてたまらんのです。
メジャー感は外さずに、少しスパイスを加えて差別性を出そうとする、モテてやらん感が、いけ好かねえんだい!


②うだつが上がらない男の、社会に対する「叫び」が格好いいぜ!
HIP HOPに格好良さが宿るのは、「社会に対する叫び」を韻を踏んでリズミカルに放つ瞬間である。
・言葉遊びの緻密さ
・旋律の軽快さ
・メッセージ性の強さ
勝手な解釈だけど、HIP HOPにはこの3つが必要で、メッセージ性を強くするには、やっぱり社会への不条理への叫びや怒り。反骨精神がなければHIp Hop足り得ないと思うのです。

「君を愛してるぜ YEAH。俺のすべてー差し出すぜーお嫁にきてー」なんて、愛の告白もなくはないんだけど、なんかそれってレゲエの方が合う。

KLEVAに話を戻す。彼のスタイルをそれほど知らないから、彼の詩を批評することはおこがましくてできないけども、
アウトローな感じはしないし、「俺、できますから」みたいな天才感は、本来HIP HOPが持つべき叫びを持ち得ていない。不条理に対してうまく対応できる器用さが、叫びや怒りの要素を溶かして「次のステージに行ってしまって」いる。HIP HOP超えちゃってるの。KLEVA スタイル。
だからメッセージ性の強さは必要ないし、HIP HOPの型に自分の音楽を創ればいい。
そんな「できちゃう格好良さ」は、羨望の対象。(もちろんできちゃうっていっても、絶対努力はしまくってるはずだけど)

羨望の対象を追従する男って、あまり魅力的ではなくってむしろ出来ない自分を卑下しながら社会に当たって吠えてもがいている。攻撃的で暴力的。さらにそれをリズミカルに奏でる。やっぱそれが格好いい。
「不器用な想いの器用な表現」それが本来持つべきHIP HOPの格好良さだろうと思うんです。


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■KLEVA「探究心」
「やってやった 行ってやった通りだ 俺は勝った 聴いてっか?同士達 歓喜の渦 誰かが言う
「これっていわゆる到達点 これ以上なんてきっともう無くねえ?」
そうなっちゃうんだろうな そう思って 確かに嬉しいが これは通過点 自分に足りないこと
 痛感してる 今日は昨日に 昨日は一昨日に 目指すイメージとは程遠い 明日よくなる いやよくする その気持ち強くすると」

→できちゃう男の余裕の詩。なんかJPOPと大差ない気がする

RHYMESTER「余計なお世話だバカヤロウ」
「有り難いそのご意見はキミがくれた宝物 Wow ありがとう でも実際は余計なお世話だバカヤロウ
ヒトの話は素直に聞くもんだ ジワジワと後から効くもんだ けれど8割がたはマジでよけいなお世話だよバカヤロウ

一見して超親切そうに だが実は心底嬉しそうに さもなきゃハナから謎の剣幕でもう涙さえ流しそうに
「あんたのためよコレ分てんの?わざわざそんな役目買ってんの。いいことしか言わないっその辺のヒトと違ってあえて叱ってんの!」…とか言うほど正しかないし 結果自分の話しかしないし これってまさかなんかの仕返し? いい返しでもした日にゃー大事 善意からだけにお節介 ぶっちゃけ的外れなおせっかい「オメーもだろ!」ってそりゃそうかもだがそれこそ余計なお世話だバカヤロウ!」

→この負け犬の遠吠え感と、自己正当化感。
ライムスター、詩がよすぎる。

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③結論:HIP HOPは、モテてはいけません。
正当はHIP HOPを詠う人は不条理に対して吠えてください。反骨精神が無いと、同じ音程で歌うただのJ−POPになってしまいます。
攻撃性を保つ秘訣は、決して幸せになりすぎないこと。

幸せになってモテたかったらR&Bかレゲエに転向して愛を歌ってください。そっちの方がきっとモテます。

モテたくてHIP HOPを聞くのもいいけど、主張のない薄っぺらいラッパーほど見苦しいものはありません。
ズボン上げて道をあけてください。

以上、男にはモテるよりも吠えて欲しいという個人的な好みからくるイメージ論でした。